大企業の海外進出が加速するにつれ、国内受注が細る中小企業も海外に活路を見出す動きが活発化しています。

 経済産業省は昨年、「中小業の海外展開支援」を題目に会議を開催しました。中小企業の海外展開を円滑に支援するための会議を設置し、中小企業の海外展開に係る総合的な政策の企画立案と、海外進出の相談対応・支援を行う日本貿易振興機構(ジェトロ)や中小企業基盤整備機構等の関係機関と協力して、国として効果的かつ効率的な中小企業の海外展開を支援していこうと動き始めたのです。

 中小企業白書2010年度版によれば、中小企業の海外からの撤退比率は3.6%(07年度)と大企業の2.4%を上回っています。これが示唆することは、労務管理などでトラブルが発生したり、現地企業に受注を奪われたりするなど、資本力や情報収集能力で劣る中小企業にとって海外での成功のためのハードルは高いということなのです。

 そのため、自社の商品力やコスト競争力の強化はもちろん、海外進出支援策の活用のほか、商社の販路やコンサルティング会社などの活用が進出後の成功確率を高める重要な手立てとなります。(つづく)

(記事提供者:アタックス 川合 和人)