(「虎穴に入らずんば その1」より続く)

 中小企業にとって海外での成功はハードルの高いものですが、こうした中、危機感を強める中小企業は独自の動きを加速しています。単独で負担できないリスクを分散させようと、国内の同業者が共同して海外展開を図るという動きが出てきたのです。参加企業がリスク負担に見合うメリットを公平に享受できるような仕組みを整えなければ実現せず、今はまだ珍しい取り組みです。海外展開に賭ける参加企業の本気度が試されるスキームです。

 中小企業白書2010年度版によれば、海外展開によって売上増加、費用の削減等の国際化の効果を5年未満で実感できたと回答する中小企業の割合は高いものの、「企業の認知度・イメージ向上」が実感できるまでには半数超の中小企業が5年超を要すると答えています。そこまでの長い期間、国内においては経営の独自性を保持しながら、海外で連携を維持できるのか、事の成り行きを冷ややかに見る方もおられることでしょう。

 筆者は、内向き志向が強まる傾向が指摘される中にあって、諸々の制約を克服しながらも海外に展開しようとする前向きな姿勢にエールを送りたいと思います。海外展開に本気で取り組むことから次につながるヒントが得られるはずです。国内においても経営体質強化のための連携が進むことも期待しています。何もしないで果実は得られません。中小連合の頑張りを期待します。(了)

(記事提供者:アタックス 川合 和人)