世界経済を混迷に陥れた金融危機は、2007年に顕在化したサブプライムローン問題に始まり、そのピークとなった2008年9月のリーマンショックから約3年が経過しようとしています。

 その間、日米欧の先進国は、大幅な金融緩和を実施してきたものの、いずれも経済情勢は一進一退というよりも再成長軌道に乗せられないでいるようです。さらに、日本は先般の東日本大震災、欧州ではPIIGS問題と新たな苦難が生じています。一方、BRICS(ブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカ)を中心とした新興国は、比較的順調な経済成長を続けてきましたが、インフレ懸念から金利を引上げており、今後の景気減速が不安視されています。

 中堅中小企業の経営者の皆様は、このような混沌とした外部経済環境をどう捉えるべきか、色々とお悩みになっているのではないでしょうか。ここでは、自社の経営戦略を検討される上で勘案すべき外部環境リスクについて考察してみたいと思います。

 まずは、日本国内について、東日本大震災並びに原発問題の影響が最も懸念されるところではありますが、それらの直接的な影響を除いたとしても、下記リスクは認識すべきでしょう。
・人口減少かつ少子高齢化が更に進んでいく中、日本市場全体の需要減退は避けられない
・財政赤字残高の水準が世界最悪となっており、増税は避けられない
・日本全体の成長力が弱い中、資産価格(不動産等)の上昇は望めない
・銀行の融資姿勢は、震災復興に向けた資金需要が増えていく中、一方でバーゼルⅢ(自己資本比率の新規制)への対応もあり、今以上緩和されることは期待できない(つづく)

(記事提供者:アタックス 平尾 敏也)