(「経営戦略の前提となる外部環境リスクについて その1」より続く)

次に、海外についても、次のリスクが考えられます。
・米国の財政赤字問題(経常収支を含めた双子の赤字)、欧州のPIIGS問題等を踏まえれば、円-ドル-ユーロの為替相場の方向感は定まらず、世界的に(日本も例外ではない)ソブリンリスクが高まってくる
・日米欧の大幅な金融緩和の結果発生した過剰流動性が、投機資金として商品市場(石油や金等)も含めた世界のあらゆる市場に流入しており、相場は益々不安定となる
・新興国の中には、順調に高成長を続ける国、景気が減速する国、中には経済破綻するような国も出てくる等、格差が大きくなる
個別事象においては例外的なことも発生する可能性はあるものの、以上の事項についてはリスクとして認識してほしいと思います。

 ここで、筆者が経営者の皆様に言いたいことは、日本の企業は、このような厳しく不透明な外部環境に晒されており、リスクに果敢にチャレンジしなければ明日はないということです。リスクへの備えがあれば、世界第3位の経済規模を持ち、13億の人口の中国に加え成長著しいアセアン諸国と隣接している日本には、まだまだ成長の種があるはずです。このような時代において最悪なことは、外部環境の改善を待つのみという経営ではないでしょうか。(了)

(記事提供者:アタックス 平尾 敏也)