東日本大震災は、有事の際の事業継続方法について企業の関心を高めました。

 多くの企業が震災対応に苦慮するのを目の当たりにし、ビジネスパーソンの誰もが、事業継続の重要性について認識を新たにすると同時に、これからのビジネスのあり方について考えさせられたことでしょう。

 今回の大震災は事業継続計画(BCP)を再考させるきっかけともなりました。これを受けて読者のなかには「BCPは有事に機能するのか?」と思われる方がいらっしゃるかもしれません。

 当たり前ですが、事業継続を脅かす事象とその損害の程度を完全に想定することは不可能です。事業継続を脅かす要因があまりにも多く、環境の変化によっても変動しますし、そのリスクを回避・低減するノウハウや技術も時代によって変わっていきます。今回の大震災による影響は、事前の想定を超えるものであったことは誰しもが認めるところではないでしょうか。

 今回の震災発生直後の救命活動、家族や職場での安否確認手段として、電話よりもメールやツイッター、交流サイト(SNS)が機能したことも、多くの企業にとって想定外だったのではないでしょうか。したがって、むしろBCPの見直しは当たり前のこととして捉えるべきでしょう。(つづく)

(記事提供者:アタックス 川合 和人)