経営戦略の一環として生命保険に加入する会社は少なくありません。契約形態を工夫することで、支払い保険料の一部を損金で落としながら、いざという時の保障や、役員や従業員の退職金の原資づくりにも活用できます。
 会社を契約者、役員および従業員を被保険者、満期保険金受取人を会社、死亡保険金受取人を被保険者の家族として養老保険に加入した場合、会社が支払う保険料のうち2分の1は資産計上しますが、残り2分の1は福利厚生費として損金算入扱いとなります。

 役員だけを対象としていたり、特定の社員のみを対象としているなど、保険の契約の仕方に偏りがある場合には、会社が負担した保険料は福利厚生費ではなく、その役員等に対する給与扱いとなりますが、その場合でも保険料が一時払いでなければ、定期同額給与として損金算入が可能です。
 そして、こうした保険契約に基づいて満期保険金が支払われた場合には、保険積立金と実際に支払われた保険金額との差額を、その保険契約の満了時を含む事業年度の雑収入として処理することになります。

 ところで、この保険契約が退職金の原資とする目的であった場合は少し注意が必要です。
 保険の満期と被保険者の退職時期がズレて、実際の退職が満期日の数年後になった場合、満期保険金の収益計上も繰り延べようとする動きもあるようですが、これは間違い。
 満期保険金の受け取りと退職金の支給はまったく別の取引であるため、満期保険金の収益計上を繰り延べることはできません。
<情報提供:エヌピー通信社>