昨年12月に取りまとめられた平成23年度税制改正大綱では、地方税制度の在り方について、「自主的な判断と、執行の責任を拡大する方向で抜本的に改革をしていく」と盛り込まれています。

 これを踏まえ総務省ではさきごろ、地方税制度に係る諸課題を検討する「地域の自主性・自立性を高める地方税制度研究会」(座長=碓井光明・明治大学法科大学院法務研究科教授)を発足し、第1回会合を開催しました。
 初会合には片山善博総務相も出席。「一つ一つの自治体が課税団体として、税というものを単に歳入調達という観点ではなく、地域経営の政策手段として考える必要がある。地方税を今後の地方分権改革の中で捉え直して見ていきたい」と語りました。

 研究会のテーマは、自治の原点である「税」について、地域住民が自ら決定し、そして自らが責任を持てる地方税制度の実現に向けて検討するというもの。現在の地方税法などで定められている制限税率といったといったさまざまな制約を取り除いて、自治体が自主的に判断して条例で決定できる仕組みづくりや、自治体が課税するにあたっての執行責任について議論します。

 主な論点は、①法定任意軽減措置制度(仮称)の創設、②法定税の法定任意税化、法定外税の検討、③制限税率の見直し、④標準税率などの選択自由拡大、⑤消費税・地方消費税の賦課徴収に係る自治体の役割拡大――など。研究会は今後、月1回のペースで開催。10月までに論点整理を行った上で報告書を策定する方針で、早ければ24年度税制改正に盛り込みたい考えです。
<情報提供:エヌピー通信社>