(「経営戦略を収支計画のみならず、財務計画に表す1」より続く)

 企業が何らかの戦略を選択する場合、その戦略実行後の売上高や利益などの業績を、中期経営計画という具体的な数値計画にするはずです。そして重要なのは、損益計算書に表した計画を推進した場合、どのような貸借対照表になるか、です。武田薬品の場合は、6,000億円を借り入れ、返済期限が近づいた時期に長期資金に切り替え、5~6年かけて毎年1,000億円程度返済していく考えのようです。つまり、借入金の推移を含めた計画貸借対照表がきちんと示されていると思われます。

 ぜひ、中堅中小企業経営者の皆様には、自社の戦略を立てることはもちろん重要ですが、それを数値計画に表すこと、それも、収支(損益計算書)だけでなく財務(貸借対照表)も計画に表す「計画経営」を推進していただきたいです。

 基本的に、中堅中小企業は「計画」を立てるのが苦手だと思われます。計画または予算を作ってはいても、ほとんどが収支の計画のみです。これでは財務リスクがどこにあるのか判断できませんし、財務リスクを軽減する手を予め打つことができない可能性があります。つまり、財務マネジメントができない成り行き貸借対照表になってしまう可能性が高いのです。

 戦略を実行した場合に収支はこうなるという計画と、その収支や投資でどのような財務になるかを計画貸借対照表にして、戦略と実行を検証し、必要があれば修正するといったマネジメントをぜひ実行していただきたいと思います。

 そうすることで、キャッシュフローを重視した経営を推進することになり、強い財務体質を手に入れることができると確信しています。(了)

(記事提供者:アタックス 片岡 正輝)