1ドル=70円台という円高水準。会社がドル建ての輸出をしている場合、1ドル=90円台の時と比較すると、実質的な円建ての売値は、2割強の低下となります。円での手取りを考えれば、当然、ドル建ての値段を2割強アップしなくてはいけません。どのマーケットでも競争は激化しており、グローバル市場の中で日系企業だけ価格を引き上げていくことは当然困難です。そうなると、利益を確保するため製造原価を引き下げるには、安い部材を購入したり、人件費を低く抑えるしかないでしょう。それらを可能とするための一つの有効手段が、海外進出ということになります。

 しかしながら、単一民族であり、同一言語を話し、相手が何を考えているかある程度読み取ることのできる日本国内で企業活動を行なってきた中小企業が、海外進出をいざ実行しようとなると、二の足を踏むのも理解できます。本当に海外の人たちをマネジメントできるのだろうか?と。

 単独の進出では厳しいかも知れませんが、仲間と一緒になって海外へ第一歩を踏み出そうとする試みは、どんどん促進していくべきです。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」という典型的な日本村の発想かもしれません。(つづく)

(記事提供者:アタックス 林 公一)