国内の景気低迷や新興国市場の立ち上がりを受け、日本の大手完成品メーカーは、部品調達先を新興国などから行う、いわゆる「現地調達」へとさらにシフトさせています。そのため、日本国内に生産拠点を有する中小部品メーカーにおいては売上・受注の低迷・減少が加速しています。

 つまり、日本のものづくりのあり方も、従来の「フルセット型産業構造」から「アジア諸国との分業構造」に移行しつつあるといえるでしょう。

 こうした状況を受け、経済産業省では「素形材産業ビジョン」(素形材産業(鋳造業、鍛造業、金属プレス業、金型製造業等)が「目指すべき方向性」や、政府・業界団体・関係企業等のそれぞれの関係者に「求められる取組」等について)を策定・公開しています(2010年6月に「素形材産業ビジョン(追補版)」も公開されました)。

 そこで示されたビジョン項目のひとつに、「海外で儲ける仕組み」の強化、すなわち海外需要を取り込む生産体制を構築することがあげられており、今後、日本の中小部品メーカーにおいても海外生産を視野に入れた事業展開を行うことの重要性が謳われています。

 実際に、機械産業を中心とした製造業においては、東アジアとの経済関係の深化が急速に進み、製品や生産工程の棲み分けによる強靭な国際ネットワークが東アジア内に形成されつつあります。中小部品メーカーにおいても、東アジアをはじめとした海外における生産展開の重要性がますます拡大してきているといえるでしょう。(つづき)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)