経営戦略の一環として生命保険を活用するケースがあります。がん保険もそのひとつですが、最近の見直しによって節税効果が半減しているので注意が必要だといえます。

 がん保険は、初めてがんと診断されたときや、がんによる入院、死亡時などに保険金や給付金が支払われる終身保険です。保険期間が終身ということで80~90%という高い解約返戻金も期待でき、資金繰り悪化の折には解約返戻金の範囲内で契約者貸付を受けることもできます。
 満期保険金がないことなどから、会社を契約者および保険金受取人、役員および従業員を被保険者として加入した場合、一定の要件をクリアすれば保険料の全額損金算入が認められていましたが、今年4月に通達改正というかたちで規制が入りました。

 新通達は、これまで全額損金が認められていた支払保険料の処理を「2分の1損金」とする内容です。保険料の支払い形態に応じて税務上の取り扱いが細かく取り決められています。例えば、終身払いのがん保険の場合、保険期間の当初50%までの期間(前払い期間)における保険料は、2分の1相当額を前払い保険料等として資産計上し、残り2分の1相当額を損金に算入。前払い期間経過後は支払保険料の全額を損金算入するとともに、前払い期間に資産計上してきた保険料を一定額ずつ取り崩して損金算入します。

 一時払いを含む有期払いのがん保険についてはさらに細かく損金算入額が定められており、がん保険節税の最大のメリットである「全額損金」は完全に閉鎖されてしまったかたちです。新通達の適用は平成24年4月27日以後の契約分からとされているため、これから生保節税を検討する場合には頭に入れておく必要があるでしょう。
<情報提供:エヌピー通信社>