最近は、もう一歩進んだ、「攻め」のアウトソーシングをするところもでてきました。ただ単にアウトソーシングするのではなく、そこから新しい価値を生み出そうというのです。

 例えば社員寮についてですが、デベロッパーが新たな分野として社員寮に新しい価値を見出そうとしています。

 バブル崩壊後、独身寮や社宅、保養所といった福利厚生施設は、真っ先に売却の対象となってきましたが、最近は独身寮を復活させる企業も出てきています。それは社内コミュニケーションの不足が各社の悩みとなってきているからです。貸倉庫や賃貸マンションを手掛けるイヌイ倉庫は来年8月、東京都中央区月島に複数の企業の社員が入居できる大型の賃貸社員寮を開業します。施設の広さを生かし、パブリック空間には、大浴場、ジム、ライブラリー、シアタールームなどが設置される予定です。共用施設を充実させ、社内外の人脈拡大、コミュニケーションの拡大の場を提供します。

 また、アウトソーシング受託企業の中でも、コンサルティング機能の充実を図るところもあります。営業代行として実働するだけでなく、発注企業の営業戦略や社員の育成もアウトソーシングのプログラムに組込むところが出てきています。

 アウトソーシングは便利なものですが、発注する際には、自社の委託体制、不備があった場合の責任の所在と賠償責任など、文書化しておくことも付け加えておきます。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)