日本の宇宙産業の裾野も大きく広がっています。社団法人日本航空宇宙工業会の集計によると、日本における宇宙産業規模(平成22年度)は、総額9兆1,698億円、直接的な宇宙機器産業は2,584億円の規模という大きな産業となっています。

具体的にJAXAの研究から、民間の産業に転用された技術をいくつか紹介しましょう。珍しいところでは、JAさがが衛星から撮影した茶畑の映像からお茶の甘味を決める「テアニン」の生成をしやすい茶木を選別、栽培し、「衛星の恵み」としてブランド化しています。この技術は栽培全般に応用ができることから、今後様々な農業に利用が期待されます。低反発素材「テンピュール」。強烈な重力や振動から宇宙飛行士を守るために開発されたものですが、最近テレビの通信販売で話題の低反発枕やマットレス、自動車の座席などに利用されています。ダイヤカット(封を開けるまではでこぼこの表面)の表面加工されたアルミ缶飲料。ロケットの機体工学の最適強度と軽量化の研究から生まれた加工技術を利用したものです。また、最近は一般的になってきた消臭下着。これも宇宙ではお風呂に入れないため開発された宇宙下着の技術を転用したものです。実は私たちの身の回りには、宇宙開発から生まれた商品であふれています。JAXAでは、JAXAが持っている技術やノウハウを転用したり、民間企業からの技術提案を受ける等、積極的に展開しています。このような姿勢が新しい商品や技術が生まれる下地になっているのかもしれません。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)