営業マンが社用車で営業中に駐車違反で交通キップを切られた――。よくある話ですが、罰金を会社が負担した場合、税務上の取り扱いは少しややこしくなるので注意が必要です。
 反則金の税務上の取り扱いは、業務に関連した支出か否か、また、支出の内容によって異なってきます。
 「業務の遂行に関連がある」場合には、会社が負担した交通反則金は、会社に課せられた罰金と同様に取り扱います。この場合、その違反者に対する罰則の効果を減らさないために損金不算入扱いとなります。
 駐車違反の場合、レッカー移動されていればその費用も発生します。レッカー費用も会社が負担した場合、実費負担という意味合いから罰金扱いにはならず、損金算入が認められています。

 一方、会社が負担した支出が「業務の遂行に関連がない」のであれば、それはそもそも駐車違反した社員が個人で負担すべき費用ということになります。このため、その費用を会社が負担した場合には、交通反則金もレッカー費用もすべてその社員の給与扱いとなります。
 この場合、給与扱いなので会社の損金にはなりますが、駐車違反をしたのが役員である場合には「役員賞与」扱いとなり、損金不算入で処理しなければなりません。なお、社員の場合も役員の場合も、本人には所得税が課税されます。

 こうした違反に対する罰金は、以前は車の持ち主ではなく運転者が払うこととされていましたが、道路交通法の改正により「放置違反金制度」が登場してからは、運転者が払わない場合は車両の使用者、つまり車検証に記載された「使用者」が罰金を払うこととされています。
<情報提供:エヌピー通信社>