国税庁は、2011年度に着手した査察事案において、1事件当たり、着手日に延べ154名を動員し、43ヵ所を調査したと公表しました。
 また、同年度に検察庁に告発した事案では、1事件当たり、着手から告発まで8ヵ月の調査期間を要し、調査期間が1年を超えた事件は28件、このうち最も長いものは約2年とのことです。

 査察調査は、大口・悪質な脱税者の刑事責任を追及することを目的としております。全国に約1,300名いる国税査察官は、捜査機関のように逮捕権は持ちませんが、裁判官から許可状を得て捜索・差押えなどの強制調査を行う権限を与えられており、調査の結果、脱税の規模や悪質度合いなどにより嫌疑者を検察官に告発します。その後、起訴・公判を経て、有罪の場合には懲役や・罰金が科されることになります。
 つまり、査察調査は、最終的に悪質な脱税者を検察庁に告発し裁判に持ち込み犯罪を立証するために、一般の税務調査とは比較にならないほどの人手や時間をかけることになります。

(後編へつづく)

(注意)
 上記の記載内容は、平成24年11月14日現在の情報に基づいて記載しております。
 今後の動向によっては、税制、関係法令等、税務の取扱い等が変わる可能性が十分ありますので、記載の内容・数値等は将来にわたって保証されるものではありません。