国税庁では、平成23年度(23年4月~24年3月)の外国税務当局との情報交換の実施状況をまとめました。それによると、企業や個人の海外取引や海外資産の保有・運用が増加していることを踏まえ、外国当局との租税条約などに基づく情報交換として、「要請に基づく情報交換」「自発的情報交換」「自動的情報交換」を積極的に実施していることが分かります。

 「要請に基づく情報交換」は、国内の情報では事実関係を十分に解明できない場合に必要な情報の収集・提供を外国当局に要請するもので、国際取引の実態や海外資産の保有・運用の状況を解明するために活用されています。23年度に国税庁から要請した件数は1006件で、全体の約7割をアジアや大洋州が占めています。一方で、外国当局から国税庁に寄せられた要請は299件でした。いずれも前年度の646件、84件から大幅に増えています。

 「自発的情報交換」は、調査で入手した情報が外国当局に有益と認められた場合に自発的に情報提供するものです。国税庁からの提供は354件で、アジア・大洋州向けが8割を超えました。一方、外国当局からの情報提供は341件でした。自発的情報交換の件数は年度ごとに大きくばらつく傾向がありますが、当局は今後も「積極的な実施に努める」としています。

 法定調書などで把握した非居住者への支払い等に関する情報を外国当局へ送付する「自動的情報交換」は、国税庁からの提供件数は37万5千件、外国当局からの提供件数は17万8千件でした。国税庁では、外国当局から提供された資料を申告内容と照合し、海外投資所得などの内容を確認する必要があると認められた納税者に税務調査することなどで活用しているといいます。
<情報提供:エヌピー通信社>