上場株式等の配当・譲渡所得に対する「10%軽減税率」は今年で廃止され、来年から20%の本則税率に戻されます。これにあわせてスタートする「日本版ISA」に関して、これまで提示されてきた仕組みの一部見直しが今回の税制改正大綱に盛り込まれました。

 10%軽減税率の廃止に伴って導入される「日本版ISA(少額上場株式等に掛かる配当所得および譲渡所得等の非課税措置)」は、投資から得られる値上がり益や配当金を一定額の投資分まで非課税にするものです。アイデアが示された当初、毎年100万円の新規投資額を上限に、最大300万円(平成26~28年の3年分)までの上場株式・公募株式投信の配当や譲渡益を最長10年間非課税にする仕組みでした。日本版ISA用の口座を毎年開設することも要件のひとつとなっていました。

 今回の税制改正大綱で見直された新スキームをみると、毎年の非課税投資額は100万円で変更なし。しかし非課税投資できる期間は、平成28年までの「3年間」から35年までの「10年間」へと伸長し、その年の投資分は5年間有効としています。これで、例えば平成32年の非課税投資総額は、最大で500万円(28年からの5年間分)となります。5年経過前に急いで株式等を売却する必要はなく、経過後に通常の口座に移して保有し続けるか、ISAの新たな枠を活用して非課税で保有することになります。また、毎年新たな口座を開設する要件は削除されました。

 投資信託や上場株式から生じる所得への10%軽減税率は、平成15年度税制改正で導入されたものです。5年間の特例措置でしたが、「株式市場を活性化させる」「景気回復に万全を期すため」などの理由で三度延長されてきました。しかし、今回の税制改正大綱でさらなる延長が盛り込まれなかったことから、26年1月から20%の税率に戻ることが確実になったといえます。
<情報提供:エヌピー通信社>