雇用促進税制の適用を受けるために不可欠な「雇用促進計画」について、平成23年の社員数をベースにした計画のうち、ハローワークが達成状況を確認できたのは全体の約3割に過ぎなかったことがわかりました。

 厚生労働省によると、平成23年4~12月に事業開始月を迎えた企業のうち、雇用促進計画を届け出て「受付済み」となった企業は2万3667社。このうちハローワークが達成状況を確認したのは6597社で、全体の約3割に過ぎませんでした。また、この数字はハローワークが計画に対する達成状況を確認できたもので、必ずしもこれらの会社が税額控除を適用できたわけではありません。6597社が23年から24年に増加させた社員数の合計は7万401人でした。
 23年度(23年4月~24年3月)でみると、「計画」の受付累計は3万50社。東京5273社、大阪3739社、愛知3072社、神奈川1511社、兵庫1465社、福岡1100社、静岡1009社などとなっています。

 雇用促進税制は、平成23年4月1日~26年3月31日に始まる事業年度に従業員を5人以上(中小企業は2人以上)かつ1割以上増やした青色申告法人を税金面で優遇する制度。従業員が増えた事業年度の法人税額から「雇用増加人数×20万円」を控除できますが、25年度税制改正では、この税額控除限度額を増加雇用者数1人当たり40万円に引き上げることとされています。さらに、適用要件の判定の基礎となる雇用者の範囲にも所要の措置が加えられることになっています。控除額の上限はその事業年度の法人税額の10%、中小企業は20%。雇用促進が目的のため、前事業年度と当該事業年度に事業主都合の離職者がいないことが要件です。ここでいう社員とは、「雇用保険の一般被保険者」とされており、1週間の所定労働時間が20時間以上で、引き続き31日以上の連続した雇用が見込まれる人を指します。パートやアルバイト従業員も含まれますが、65歳以上で再雇用したひとや季節労働者、会社の役員らは対象外です。

 同制度の適用を受けるには、事業年度開始から2カ月以内にハローワークに雇用促進計画を提出しなければなりません。提出した企業のなかで3割程度しかハローワークが達成状況を確認できなかった実態からは、雇用促進計画どおりに人材を増やせなかった企業が多数存在すると同時に、ハローワークに報告しなくてもペナルティーが発生しないことから「雇用促進税制に該当すれば儲けもの」と考え、ひとまず計画を提出しただけの企業が少なくなかったことなども垣間見えます。
<情報提供:エヌピー通信社>