微小粒子状物質「PM2.5」が及ぼす健康への影響が懸念されています。PM2.5とは、大気中に浮遊する粒子のうち、大きさが2.5μm以下、スギ花粉の十分の1程度のものを指します。粒子がきわめて小さいため、肺の奥深くまで入りやすく、肺がんなどの呼吸系に加え、循環器系にも影響するといわれています。

 健康への懸念は、1月、国内48カ所もの測定局で環境基準値(*1)を超えたことで高まり、その後も川崎市のほか、熊本、長崎、佐世保など、多くの地域で基準値超えが観測され、不安が広がっています。PM2.5が生じる要因には、自動車の排気ガスや工場の排煙、石炭による集中暖房などがあげられます。

 現在のところ、対策にはマスク着用や空気清浄機の設置が効果あるとされていますが、環境省は市販のマスクは性能によって吸入防止効果に差があり、高性能な防じんマスクでなければ効果は薄いと注意を促しています。また、空気清浄機も性能に差があるため、メーカーに効果を確認する必要があるといいます。

 今後、企業によっては従業員等の健康を守るため、対策が必要になる場合も出てくるでしょう。2月、環境省は暫定指針を定め、1日の平均値が70μg/m3を超えた場合は、「不要不急の外出を控える」「長時間の激しい運動をできるだけ減らす」などの注意喚起を行うとしています。スポーツイベントの企画運営会社をはじめ、屋外業務を中心とする企業は、基準値を超えたときの対応策を事前に準備しておくことが望ましいといえます。(つづく)

(*1)基準値は1日平均値35μg/m3以下(μ:マイクロ、ミリの千分の1)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)