わが国の中小企業において、経営者の高齢化の進展などを背景に事業承継が課題となっています。中小企業の事業承継においては、近年、従業員や主力販売先などから経営能力に長けた人物に事業を承継する親族外承継が注目されています。

 『中小企業白書2013年版』によると、承継の時期が最近になるにしたがって「親族以外の役員・従業員」「社外の第三者」への事業承継が増加傾向にあります。その背景としては、「親の会社だから」という理由のみでは事業を継がなくなってきているといった、経営者の子供の承継意識の変化があると考えられます。また、中小企業を取り巻く環境が厳しさを増す中、親族であるか否かにこだわらず、経営能力に長けた後継経営者を親族外も含めて広く求める企業が増えているのかもしれません。

 親族外承継のメリットについてみていきますと、①会社の内外から広く候補者を求められる、②社内で長期間勤務している従業員に承継を行う場合には経営の一体性を保ちやすい、③後継者が異なる視点から企業を客観的にみることができるなどといったことがあげられます。

 一方で、デメリットについてみていきますと、①親族外承継では親族内承継以上に後継者候補が経営への強い意志を有していることが重要となるがそのような適任者がいないおそれがある、②関係者の支持・理解の確保のための努力が必要、③後継者候補に株式取得の資金力がない場合が多い、④個人債務保証の引継ぎに問題が生ずる場合があるなどといったことがあげられます。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)