2011年4月から大学設置基準が改正され、大学においてキャリア教育を行うことが求められるようになりました。

 その柱は、①学生が卒業後自らの資質を向上させ、社会的及び職業的自立を図るために必要な能力の形成、②教育課程の実施、③大学内の組織間の有機的な連携を図った適切な体制の構築の3点になります。

 大学におけるキャリアというとどうしても「就職」のイメージが強くなりますが、大学生の全員が就職するとは限りません。キャリアという言葉には、「就職」だけでなく、就職も含めた卒業後の「進路」、さらには個々の学生の将来に向けた「生き方」といった意味合いも含まれてきます。

 キャリア教育において柱となるのが、自己理解と環境理解です。自己理解とは、自分がどのようなことに価値を見出すのか、どのようなことに興味があるのか、どのようなことが得意なのかなどといったことに気付くことです。また、環境理解は、社会の仕組みを理解したり、産業や企業、更には各企業で行われている仕事の内容などを理解したりすることです。

 大学におけるキャリア教育においては、こうした自己理解や環境理解を学生自らが主体的に行えるようなカリキュラムを教育課程に組み込む一方で、教育課程以外にも学生が様々な環境に触れることができる機会を提供するような「キャリア支援」を行うことが求められています。また、キャリア支援においては、学生一人ひとりのニーズや特徴に合わせたきめ細かな対応を行うことが重要となるのです。(つづく)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)