信託協会が「信託の活用に関する調査」の結果を公表しました。この調査は、協会が税制優遇を要望する信託商品のニーズを調べることを主な目的とするものですが、相続対策の実態や贈与に関する納税者の意識などが浮かび上がる内容にもなっています。

 相続に関する意識調査は40歳以上の既婚者を対象に実施。3776人から回答が寄せられました。
 回答者のうち、相続財産を受け取った経験があるのは36.3%。このうち、相続税を納めたのは26.1%でした。財産を受け取った経験がある人のなかで、親が相続対策をしていなかったケースは81.2%にも上っています。相続財産を今後受ける可能性があるか否かの設問では、42.4%が「ある」と回答。男性・女性ともに40代・50代では6割を超えました。財産を受ける可能性があっても親が相続対策をしていないケースは64.3%ありました。 

 アンケートは相続財産を残す立場としての意識に関しても聞いています。自己財産の内訳と価格を把握しているかどうかに関する設問では、「全て把握している」が18.5%、「大まかに把握している」が51.8%で、把握している人が7割を超えました。また、誰に財産を残すかを決めている人の割合は35.1%でした。

 相続対策の有無については、対策をしていない人の割合が77.3%でした。その理由として「必要性を感じていない」と回答した人が47.4%で最多でした。その一方で、「何をしたらいいか分からない」が35.8%、「時間がないなどの理由でできていない」が16.8%となっており、必要性を感じていても未対応のままになっている人が少なくない実態が浮かび上がっています。士業者のサポートが求められているといえるでしょう。
<情報提供:エヌピー通信社>