では、具体的な作業について考えてみましょう。

 一番に決めなければならないのはパッケージの形状です。容器の形状が決まらなければデザインの構図が決まりません。内容物が破損しない形状なのか、輸送に適する形状なのかなどが求められます。

 デザイン工程に入るのは上記の形状が決まってから行います。最初に市場動向調査です。実際に店頭に足を運び、他社商品のパッケージデザイン、ロゴ、ネーミングなどをチェックし、共通して使われている要素は何なのかを把握しましょう。その上で、他社にはない独自性のあるパッケージデザインやネーミングのコンセプトを打ち出していきます。

 さて、そのときの具体的なデザインを詰める作業ですが、ここでは一般論を述べておきます。まず、プロのデザイン会社に頼むにしても、社内で検討するにしても、最初から多くの関係者がかかわると、万人がなんとなく納得するものになりがちです。過去の例から見ると、みんながいいというデザインは、だいたい失敗します。それは自分の意見を押し通さずに周りをみてしまうからです。上司や会社としても、最初から口を挟まずに、自由に考えさせることを心がけましょう。

 ある程度の方向性が決まったら、パッケージのデザインが他の意匠権に抵触していないか、ネーミングが著作権に抵触していないかを調べる必要があります。これを行わないと、無免許で運転しているようなもので、他社から訴えられる危険性があります。

 ここまでいってから、次の工程はテスト販売やモニター調査などに移ります。売れる商品を世に出すことは、そう簡単ではありません。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)