本年も年末調整を行う時期になりました。年末調整は、給与を受ける人それぞれについて、原則、毎月の給料や賞与などの支払の際に源泉徴収をした税額と、その年の給与の総額について納めなければならない年税額とを比べて、その過不足を精算する手続です。
 今年は所得控除等についての改正はありませんが、復興税の導入もあり、昨年と比べて変わった点、また誤りやすい事項についても少しふれてみたいと思います。

◆昨年と比べて変わった点
(1)復興特別所得税の導入で、所得税の源泉徴収義務者は、毎月の給与や賞与について、平成25年分以後の源泉徴収税額表に基づき、所得税及び復興特別所得税(源泉徴収すべき所得税の額の2.1%相当額)の合計額を徴収し、納付しています。
 したがって、年末調整は、所得税及び復興特別所得税額の合計額で行います。
(2)給与等の収入金額が1,500万円を超える場合の給与所得控除については、245万円の定額とすることとされました。
 今まで青天井だった給与所得控除額は、上限245万円で打ち止めとされることになりました。
(3)特定の役員等に対する退職手当等に係る退職所得の金額の計算については、退職所得控除額を控除した残額を2分の1する措置が廃止されました。

◆誤りやすい事例
(1)遺族年金は非課税所得であるにもかかわらずそれ含めて合計所得金額を算定していた。
 遺族年金を除いてところで合計所得金額を算定します。
(2)本人が生命保険料等を支払っており、かつ、保険金の受取人は本人又はその配偶者その他の親族であるにもかかわらず、契約者になっていないことから生命保険料控除の対象としていなかった。
 契約者の有無にかかわらず、本人が保険料等を負担し、保険金の受取人が本人又は配偶者その他の親族である限り、生命保険料控除の対象とすることができます。
(3)生計を一にする親の後期高齢者医療制度の保険料を口座振替により支払ったにもかかわらず社会保険料控除の対象としていなかった。
 年金から特別徴収されていないので社会保険料控除の対象とすることができます。