公正取引委員会が下請代金支払遅延等防止法(下請法)に基づく平成25年上半期の取り締まり状況と法違反事例を公表しました。
 下請法は親事業者に対して禁止行為を定めていて、その内容は、受領拒否、支払い遅延、下請代金の減額、返品、買いたたき、購入・利用強制、報復措置、有償支給材料等の対価の早期決済、割引困難な手形の交付、不当な利益の提供要請、不当な給付内容の変更・やり直し――の11項目となっています。

 公取委が勧告・指導した違反事例を見てみると、「支払い遅延」では、電子部品の加工を委託した下請事業者からの請求書の提出が遅れたことを理由に、加工をさせたにも関わらずあらかじめ定められた支払い期日を経過して下請代金を支払っていた親事業者が指導を受けました。

 「減額」の例としては、漆器の製造を委託している下請事業者に対し、卸売業者が「カタログ作成協賛金」として一定額を下請代金の額から減らしていたことが分かっています。また、鋳物製品の製造の委託先と単価引き下げ改定を取り決めた鉄鋼業者が、引き下げ前の単価で発注した製品までさかのぼって新単価を適用した例もありました。

 「返品」では、婦人服の製造を委託している下請事業者に対し、ただちに発見できない瑕疵を発見したとして、商品を受け取ってから6カ月後に返品した繊維工業事業者が指導を受けています。「不当な経済上の利益の提供要請」については、利益がどれだけ見込めるのかを明らかにせず、下請事業者に無償で人員を派遣させ、自社店舗の接客販売、在庫管理、棚卸し作業を行わせていた例もありました。
<情報提供:エヌピー通信社>