ウエアラブル端末は、日本国内の企業も開発に注力しています。すでに、2007年にはソニーが業界初、腕時計型の機器を発売し、その後も新製品の発売を続けています。メガネ型ウエアラブル端末は、10月にNTTドコモが試作品を発表し話題になりました。

 さらに、注目したいのは、このウエアラブル端末は個人向けだけではなくビジネス用にも活用できる点です。日立製作所の子会社、日立ソリューションズは、現在、メガネ型のウエアラブル端末を在庫管理やオペレーター業務で利用できないか検討しています。従来ですと、たとえば在庫管理では、作業者がタブレット端末を片手に作業を行っていました。メガネ型の端末を利用すれば、両手が自由に使えるので、作業効率が上がることが期待できます。

 しかも、ウエアラブル端末は、機器の開発、販売事業者だけでなく、その周辺にある数多くの企業にも商機をもたらします。一例を挙げると、表示のための液晶画面をはじめ、コネクターや小型のバッテリーなど、日本の優れた技術を活かす場が多数あります。今後、ウエアラブル端末の普及が加速すると、関連する企業への需要も高まり、大きな商機となるでしょう。

 その一方で、現在のところ、ヒット商品に成長するにはまだ多少の時間がかかりそうです。実際、9月にサムスンが発売した腕時計型の商品は、爆発的に売れているわけではありません。ただし、スマホも同様、ヒット商品の多くはヒットに至るまで、数多くの商品が市場に投入されては消えていく過程をたどります。今後のヒットに備え、いまは自社のなにが商機になるか、検討する事が望ましいといえます。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)