ビジネスとしても見てみましょう。人間心理として、何でも返品を受け付けてくれるとなれば、「気に入らなかったらあとで返せばいい」と、いくつか試してみてと、つい多く買ってしまいます。ところが実際に買ってしまうと、例えいらないものであっても、全員が返品に行くわけはありません。この制度を利用して、「どんどん買ってどんどん返品する人」が多少いたとしても、差し引きプラスになるのです。

 しかも、返品理由を書く欄があり、「横幅が狭い、いつも買うサイズが25cmで買ったが、ややきつい」と書いたとします。そのようなデータは蓄積され、返品すればするほど顧客データが蓄積され、顧客に合った商品の構成ができるのです。

 商品ではないのですが、弁護士顧問料を年間21,000円(ビジネスタイプは31,500円)で、何度でも相談を受け付ける「特別顧問制度」という画期的なシステムを立ち上げた弁護士事務所がでてきました。このような安価な設定でも経営が成り立つのは、頻繁に利用する顧客と、顧問料を保険程度にしかとらえていない顧客とのバランスを考えた緻密な計算があるのではないかと考えられます。

 もちろん相談後、実際の実務に移る場合や、書面のチェック・添削・作成等などが増えれば、それは別途料金が発生し、さらに売上げが増えることになります。ここにも「フリーミアム」の精神があると思います。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)