今回はがらりと変わって、生保節税(死亡保険金を年金で受け取った場合)について、検討してみましたので、ご参考にしていただければ、幸甚です。

 生保節税のスタンダードとして多くの資産家に活用されてきた相続税法24条(定期金に関する評価の規定)ですが、生命保険の非課税枠とのダブルで適用をめぐり、資産家の間で関心が高まっています。というのも、同24条と非課税枠をダブルで活用できれば、その節税効果はとてつもなく大きいためです。
 ダブルで適用するには、各要件をクリアする必要があります。一時金で受け取るべき保険金を年金特約によって定期金で受け取った際には、まず24条を適用できるかどうかの判断が必要です。さらに24条で評価した年金受取りの保険金については、生命保険の非課税枠を適用できるかどうかの判断も必要となります。
 前者については、まず「保険事故の発生時に年金特約が付与されているかどうかで判断が分かれます」(国税庁)。保険契約時に特約を付与していれば問題ありませんが、保険事故が発生してから年金受取りとすることにした場合は24条の適用はありません。なかには保険事故発生直前に年金特約を付与するケースもありますが、「不自然な契約内容については細かくチェックする」(同)といいます。
 また、年金受取りとしながら一時金でも受取れる仕組みの契約や、一時金の額を分割の方法で利息をつけて支払いを受けた場合も適用はありません。これらの契約については「年金ではない」と判断され、一時金の額として評価されてしまう可能性が高い(相続税基本通達24-3)。
 非課税枠の適用に際しては、相続税法3条に規定された「みなし相続財産」や、同12条5項に規定された「相続人」であることを確認する必要がある。3条ではみなし相続財産となる保険金の内容が細かく規定されていますが、これから外れるものは非課税枠の適用はありません。また、ここでいう「相続人」とは法定相続人を指すため、被相続人に配偶者や子どもがいる場合その兄弟は含まれません。(注1)

例えば、契約者A以外の者Bが、被保険者Aの死亡により、死亡保険金を年金で受け取ったとき(契約形態AAB)、相続税法24条により評価した価額に対して、相続税の課税が行われます。相続人の受け取ったものについては、保険金同様、非課税規定(相続税法12条)の適用があります。受け取った年金が雑所得(必要経費の計算には払込保険料総額を使用)となり、所得税・住民税の課税が行われます。
また、契約者A以外の者Cが、被保険者Bの死亡により、死亡保険金を年金で受け取ったとき(契約形態ABC)、相続税法24条により評価した価額に対して、贈与税の課税が行われます。受け取った年金が雑所得(必要経費の計算には払込保険料総額を使用)となり、所得税・住民税の課税が行われます。(注2)

(注1)参照元:エヌピー通信社
(注2)参照元:生命保険税務と周辺問題Q&A (出版社)新日本保険新聞社