生命保険を利用した相続税節税の決定版として知られる、相続税法24条「定期金に関する権利の評価」の“見直し説”が一段と色濃くなってきました。

 相続税法の抜本的な見直しが進むなか、この期に歩調を合わせ、同24条の見直しを進める雰囲気が強まっているのです。実際国税庁では、税制改正要望のなかに同24条の見直しを盛り込んでおり、かなり鼻息なのが現状です。

 同24条では、定期金給付の残存期間に応じて評価割合を定めており、受取り期間が長ければ長いほど評価割合が下がるように規定されています。通常、現金を贈与したり、相続した場合はその額面に対して課税されますが、生命保険にカタチを変えてこの24条を絡ませることで評価は一気に下がり、たとえば、36年以上の年金方式で受け取る場合、24条が規定する評価割合はなんと20%となるのです。場合によっては、これに生命保険の非課税枠「500万円×法定相続人数」を適用すると、ほとんど相続税がかからないケースが出てきます。

 そこで、国税庁としては、来年度税制改正への意見として財務省 に、「相続税法第24条(定期金に関する権利の評価)または第25条(定期金給付事由が発生していない定期金に関する権利の評価)に規定する定期金に関する権利の評価方法の適正化を図る」と要望しています。来年度税制改正では、相続税法の抜本的な見直しが図られるため、それと一緒に見直しを進めたい国税庁ですが、財務省サイドではいまのところ、そちらまで手が回らないとの意見もあり、今後の展開が注目されています。