前回の記事「子ども手当の創設と配偶者控除及び扶養控除廃止」 に引き続いて今回は民主党が公約(マニフェスト)に掲げている「中小企業への支援策」について考察してみようと思います。

中小企業への支援策は間接的なものまで含めると多岐にわたりそうなので、ここでは主なものをご紹介いたします。

(民主党の公約にある中小企業支援策)

1.中小企業の法人税率を現行の18%→11%へ引き下げる
この政策は法人税法を知らない方からすると分かりにくいのですが、法人税は中小法人については所得金額の800万円までは税率が18%と軽減されております(800万円超の部分は通常の30%が適用されます)。

この軽減税率18%はもともと22%だったのですが、平成21年度の税制改正で2年間に限り18%へと軽減されております。民主党はこの軽減税率を18%→11%へ引き下げて2年間と言わず、当分の間据え置くというものです。黒字の中小法人からするとありがたい政策です。

ちなみに、この政策の減税効果は800万円以上の所得金額のある中小法人では、最大で 800万円×(18%-11%)=56万円 になります。

あくまで黒字決算の中小法人が恩恵を受ける政策ですね(よくCMで「私達は中小企業の黒字決算を応援します!わ-っ」と言っておりますが、あの会計システム会社の顧問先はきっと恩恵を受けられているのでしょう・・・ 私からすると無理に黒字にするよりバランスの取れた節税が大切だと思うのですが・・・蛇足ですが)

このご時世ですから赤字法人が多い(増加している)と思いますので、直接的に恩恵を受ける法人数は全体からすると少ないかもしれません。


2.「中小企業いじめ防止法」の制定
ベタな名前から分かるように、大企業へ商品等を納入している中小企業に対して不当な値引きや押しつけ販売などを禁止する法律だそうです。民主党のマニフェストをみますと

『不当廉売や優越的地位の濫用による「下請けいじめ」を防止するため、「中小企業いじめ防止法」を新たに制定し、大企業による不当な値引きや押しつけ販売、サービスの強要など不公正な取引を禁止するとともに、独占禁止法の厳格な運用により厳正に対処します。改正独占禁止法に定める「優越的地位の濫用」の禁止については、早急にガイドラインを制定します。あわせて、下請法の対象となる取引を拡大します。また、下請業者の代金債権を保全する仕組みを導入します。公正取引委員会の機能強化と体制充実を図るとともに、審判制度は廃止します。』

理念は納得できますし、素晴らしいことだと思いますが、人に利害が絡んで動いている部分になりますので法律が制定されたからと言って簡単に変わってくるようには思えません。

例えば、不当な値引きを要求された中小企業が公的機関に駆け込んだ場合、その場はその機関からの申し伝え等によって値引きを回避することが出来るかもしれませんが、その後その駆け込んだ中小企業は大事な取引先であるその大企業から干されてしまうかもしれません・・・ 結果として最初から無理な値引きをされても泣き寝入りしてしまうなんてことが繰り返されてしまうかも!??

このような法律はあくまで上記のような負の連鎖が生じない仕組み作りが大切なのだと思います。民主党にはきちんとした仕組みのある法律の制定を望みます。


さてさて、まだまだ他にも『中小企業への支援策』はありますが、長くなってしまうので次回にしようと思います。

それでは素敵な一日を♪

相模原市の税理士事務所 高木会計事務所
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