●伸びる会社は、SL型➜新幹線型➜リニア型と変身する
 事業というものは、創業者の理想と強力な牽引力で、立ち上がるものです。機関車が、多くの列車を引っ張る“SL型”のパワーこそが、起業の原動力なのです。
 ところが、いつまでたっても“SL型”のままでは、企業の成長は足踏み状態になります。
 何もかも自分でやり過ぎる人は、見かけは会社でも“実質は個人商店”で限界だからです。
 しかし、人を使い人を生かせる経営者は、事業を大きく伸ばせます。
 事業を大きく伸ばす人は、やがてSL型の“マイ・カンパニー”を、トップの補佐役を要所に配した新幹線型の、“アワ・カンパニー”組織に変えることができるものです。
 さらに人間操縦と組織の運用に巧みな人は、経営者の分身ともいえる人材を育て、各部署が能動的に機能する“リニア型”に、会社を変身させるものです。
 このように、成長する会社は、①SL型 ②新幹線型 ③リニア型へと変身します。
 しかし一概に、SL型のままではダメ、というものではありませんが、「もっと経営基盤の強い会社にしたい」と考える経営者は、深く思慮を練るべきテーマでしょう。

●親族以外の取締役誕生が、会社の急浮上につながった
 あるバッグ袋物の問屋の例ですが、第三者の強い奨めで創業会長は、キャリアを積んだ筆頭の営業部長を取締役に抜擢しました。この会社の歴史では、まさに“晴天の霹靂”です。
 主な社員たちは、「この会社で他人は、どんなに優秀でも、絶対に取締役にはなれない。」と思っていたから、みんなびっくり仰天です。
 そしてこれも第三者のリードで、全得意先にはもちろん、仕入先各社や金融機関などにも、「取締役の新任についてご挨拶」という書状を送りました。
 長い間取引関係を保っていた得意先や仕入先は、こぞってこの挨拶に、「これはいい。あの会長さんが、よくも思い切って、他人の血を経営に取り入れたもんだ…」と、大歓迎。
 特に銀行はふだんから、「絶対に銀行印も手放さない会長だが、あの高齢ではいつ何が起きるかも…?」と、危惧していましたから、大歓迎しました。
 この問屋は、この新幹線型に脱皮してから飛躍的に業績を伸ばしました。
“SL型”の経営から、“新幹線型”の経営にチェンジした一つの好例です。