今年に入って2件、大きなM&Aがご破算になりました。一つがサントリーと麒麟麦酒との合併断念で、もう一つがこの新生銀行とあおぞら銀行との合併断念です。

 サントリーと麒麟麦酒は、実現すれば食品業界でのグローバル企業の誕生ということで非常に夢がありました。その反面、一つが資本の論理に身をおく公開企業であり、片や「やってみなはれ」のこてこてのオーナー企業、お互いの利害関係者を説得し同じ船にのることは難しいのではと思っていたのですが、やはりそうでした。

 それに対して、新生銀行とあおぞら銀行は非常に多くの類似点があります。お互いに一度経営破たんを経験し、外資系ファンドを筆頭株主として再生を図ってきました。お互いの方針が合致すれば、比較的スムーズにまとまる状況下であったと思われます。この合併は、両行の監督官庁である金融庁も後押しをしており、合併時には数千億円の公的資金注入という話もあったそうです。しかしながら、リーマンショック後の金融危機がすぎるにつれて、お互いの考え方の相違が鮮明になってきました。もともとは同じ政府系の金融機関でありライバル意識も高い両行です。こうなってくるとやはり組織と組織に縄張り意識がでてきます。(つづく)