経団連(米倉弘昌会長)はこのほど、平成25年度税制改正要望書を公表しました。知的財産で得た所得に対して低税率または所得控除が適用される「パテントボックス税制」の創設を盛り込んだほか、自動車取得税と自動車重量税を消費税率8%への引き上げ時までに確実に廃止することや、法人実効税率の引き下げなどを求めています。また今回の要望書は、消費税に対する経団連の見解が再確認できる内容にもなっています。
 経団連は消費税を「資本形成を阻害せず、企業の国際競争力やわが国の経済成長に関して中立的な税であり、税収の安定性や世代間負担の公平性という面においても、他の税目に比べ優れている」「賃金に対して直接の負担を求める社会保険料に比べても、雇用の創出に中立的」と評価。歳入改革が不可欠な状況を踏まえ、「2020年代半ばまでに、消費税率を10%台後半まで引き上げることは避けられない」としています。

 消費税の転嫁に関しては「適正転嫁は当然」と明記。経団連の企業行動憲章「公正、透明、自由な競争ならびに適正な取引を行う」を記したうえで、「(親事業者による)優先的地位の濫用があってはならない」としています。
 消費税の税額表示方法については、変更すれば消費者の混乱や事業者のシステム対応コストの増加が予想されるとして、現行制度の維持が基本としています。ただし、二段階にわたる税率引き上げを踏まえ、値札の付け替え作業など、事務負担の増大に配慮した弾力的な制度の運用が求められることを付け加えています。

 消費税率アップに伴う低所得者対策で検討されている複数税率については、「少なくとも消費税率が10%の段階までは、単一税率を維持すべき」と提言。消費税率8%時は簡素な給付措置の実施、10%時は給付付き税額控除の導入を検討するべきとしています。また、給付付き税額控除導入の前提ともなっているマイナンバー法案については早期成立を求めており、消費税の仕入税額控除に掛かる「95%ルール」が課税売上高5億円超の事業者に関して廃止されたことについては見直しに向けて検討することを要望しています。
<情報提供:エヌピー通信社>