ロボット戦略が打ち出される中、6月5日、ソフトバンクモバイルはロボット産業に参入することを発表しました。同社は工場向けではなく、人型ロボット「Pepper」を2015年2月から発売するといいます。この人型ロボットの特徴は、人の感情や声のトーンを認識する点にあります。さらに、認識した結果をもとに返事をするので、まるで感情をもった生き物のようになっています。

 もう一つの特徴は、価格が安価なことにあります。ソフトバンクによると、一台19万8,000円で販売するそうです。工場用のロボットは一台数千万円もし、製造ライン全体では1億円以上もの価格になることもめずらしくありません。それに比べると、「Pepper」の価格はこれまでの日本のロボットの常識を覆すほどの価格だといえます。

 ソフトバンクの「Pepper」をみると、低価格で使いやすいロボットを普及させるという、ロボット戦略は着実に前進しているようにもみえます。ただし、これまでの日本は、薄型テレビや携帯電話のように、世界に先駆け高性能、高品質な製品を開発することは比較的得意とします。最初は高シェアを得ますが、市場が成熟するにつれ競合企業が増え低価格化がはじまります。そうなると、人件費の安い新興国がコスト面で優位となり、日本は価格競争に負けシェアを落とすといったことが幾度となく繰り返されてきました。日本は、工場向けの高性能ロボットでは優位に立っていますが、今後、低価格帯の市場も制することができるのか。当初掲げた通り、ロボット産業が日本の成長の源泉となるのか目が離せません。(了)

(記事提供者:(株)税務研究会 税研情報センター)