今、東京下町の新たな観光名所として東京スカイツリーが注目されています。かつての東武鉄道の貨物駅跡地にスポットライトが当っています。2年後の2012年春の開業を目指して、現在急ピッチで工事中ですが、先月には東京タワーの高さを超えました。そうなると人々の目は俄然東京スカイツリーに注がれ、東京タワーの存在はいっぺんに影が薄くなってしまいました。かわいそうなのは東京タワー、人の心は移り易く、薄情なものです。休日ともなると、工事中の様子を一目見よう、間近で記念写真を撮ろうと観光客も増え、スカイツリー周辺の経済効果は早くも相当なもののようです。地元だけでなく、スカイツリー発、日本の景気回復となると良いのですが、それは高望みなのでしょう。
 まだ工事中にも拘わらず、出先の様々な場所からもその姿を見ることができるようになりました。事務所のある綾瀬からは勿論、先日は車で高速を走っている時にもその姿を目にしました。この頃では、外出した際、そこから果たしてスカイツリーは見えるかしらと、あたりを見廻すことが多くなりました。スカイツリーの存在を気にするようになりましたが、それはまだもの珍しい存在だからなのでしょう。元来、東西南北、方向音痴の私にとって、思わぬところからスカイツリーが見えるようになったことで、目標が定まり、ちょっぴり便利になったような心持ちです。
 かつて、東京やその周辺ではいたるところから富士山を見ることができ、その名残りの富士見坂という名の坂が多くあります。今や富士見坂の多くの場所では、高層ビルに視界をさえぎられたり、スモッグ等により富士山を見ることはできなくなってしまいましたが、これからは富士山に代わって東京スカイツリーが見えてくることでしょう。何しろ、完成時には、今の高さから更に約300mの高さが追加されるので、たとえ今はまだ見えなくとも、いずれその姿が視界に入ってくることでしょう。楽しみです。
 見るとツリーの上層部には工事用のクレーンが3台設置され、その工事のスピードも驚きのスピードです。施工は大林組、日本のゼネコンの技術力の高さを改めて象徴しているようです。しかし、せっかくの高い技術力を誇るゼネコンも世界的な不況と「コンクリートから人」への政策転換で、その技術力を活かすだけの仕事量が不足しているのが残念です。
 塔のシルエットは、東京タワーの方が優美な曲線で美人のように思います。東京スカイツリーは円筒形で何となくズングリした姿です。ネットで検索してみると、ズングリした円筒形に見えますが、スカイツリーの地上部は一辺が68mの正三角形で、徐々に丸くなり第一展望台付近で真円になっているそうです。
 また、世界一の高さの自立式電波塔となるスカイツリーの高さ634mは、「むさし(武蔵国)」の語呂合わせの意味があるそうです。なるほど、なるほど。
 完成し、人々のにぎわいも一段落した頃に、展望台から東京一帯を眼下に見てみたいものです。その時、街は人々の活気に満ちあふれているのでしょうか?
 2012年春、とにかくそれまでは頑張り、何とか生き延びることが当面の課題です。さてさて、頑張らなくては。