◆午前の時間は、「宝石の価値」あり
 なるべく、頭を使う仕事は午前中にやり、習熟を要する“作業”は午後にやるほうがいい。
 ではまず、「頭を使う仕事は午前中に」という理由を説明します。
 「人間の瞳孔(ひとみ=カメラの絞りに当たる)は、一日24時間のうち、午前8時頃がいちばん大きく開いている」という。
 これは、ミュンヘン大学のドーリング博士が調べた「24時間中の瞳孔の大きさの研究」を根拠にしている。東大でも、この研究を引用して教えているという。
 その東大医学部の研究によれば、副腎皮質ホルモンの分泌も、ピークは午前中という。この副腎皮質ホルモンというのは、体を加熱し、心身をハッスルさせる燃料の役目を果たす。
 だから、瞳孔はバッチリ、副腎皮質ホルモンも大量分泌という午前中は、脳がいちばん生き生きと冴えている時間帯ということである。
 つまり午前中は、頭を使う仕事に適しているのだ。単純作業に使うのはもったいない。
 アメリカの大銀行の頭取が来日し、日本の銀行家と会談することになったとき、「では、明朝の8時から、○○ホテルで会食でもしながら・・」と、米銀行側が申し入れてきたとき、日本側はびっくりしたというが、合理的な考え方はアメリカというべきだろう。
 ビジネスの打ち合わせをしながら朝食をとる、パワー・ブレックファスト・ミーティングが、アメリカで多いのは、脳の機能を最大に利用する点では、とても合理的である。
 昼間は忙しいからという理由で、役員会を午後にやる会社は多いが、思いきって、朝やる方向に転換する会社があってもいいと思う。
 ちなみに事務所の始業は朝8時、一日のスタートはミーティングから始めている。
職員は7時半には来て、仕事を開始している。
◆朝脳の判断力は澄んでいる
 以上のことを考えると、脳がいちばん元気な午前の時間帯を生かすため、職場としては、つぎのような時間配分の心得が賢いのではないか。
 1、会議・ミーティングは、なるべく午前中に開催する。
 2、むずかしい交渉事は、なるべく午前中にする。
 3、新しい判断を要する仕事は、なるべく午前中にやる。
 4、企画・立案の仕事は、なるべく午前中にやる。
 5、計数を分析したり、対策を検討する仕事は、なるべく午前中にやる。