タイヤを売らずに誠意を売り、会社を伸ばす社員 
 自動車修理工場に車が、予備タイヤで乗り入れた。「遠くまで帰る。パンクしたから交換してくれ」という要望だ。
 しかし担当したTくんは、手早く補修すると、「まだ交換はもったいないです」と言い修理代だけ受け取った。
 客は感心した。4本とも新品にしたいと言っているのに、「担当者がもったいない、とは・・?」と首をひねった。
 そして工場を後にし運転しながら、「違う、あの工場は違う。いまどきあんな誠実な人間もいるのか・・」
 この客は、この工場の近所に営業所を持つ経営者。社長は帰社するなり営業所長に電話し、「今後、営業所の車両管理は、この整備工場にするよう検討しなさい」と指示をした。
 Tくんはこのようにして、誠意で顧客を増やし、会社の繁栄に貢献している。
 物を売るより誠意を売る。言葉は奇麗で立派だが、実行となるとむずかしい。しかしTくんは自然体で誠意を売っている。テクニック売りではなく誠意売り。ご立派そのものである。