●社会のルールに欠けたら要らない

今回もあるコンサルタントの人から聞いた話を紹介する。

〇〇県の某市に、大学出の社長が経営する菓子舗がある。

彼は社長になる前から、職長を嫌っていた。なぜなら自分の存在感が示せないからである。

だから社長に就任すると同時に、職長を解任した。職長は自主的に辞めた。

社長は礼を言われるのが好きであるが礼を言うのは嫌いである。ましてや、人に物を聞くのが嫌いである。だから今以て、売れる新製品が開発できない。聞く耳がないのである。

だから今も、〈〇〇饅頭〉だけが唯一の売れる商品である。

東京の日本橋高島屋で、〇〇県の“郷土みやげ展”があります、という連絡を受けた。

当日、まずは出かけてみた。しばらくは観察である。

全然売れないのである。なぜなのか。主力商品が〈〇〇饅頭〉だからである。

中のアンが皮の破れ目からこぼれ落ちそうな饅頭は、いまはスーパーで一個60円から70円程で買える。しかも〇〇県の〈〇〇饅頭〉よりもうんと大きい。

なぜ、こんなヘマを続けるのかというと、彼が“裸の王様”になっているからだ。

人から言われるのも嫌うのである。まず贈り物をしても礼を言われたことはない。

普通、人はたとえ千円の物をいただいても礼を言うのに。

礼を言うのも常識である。感謝する心がなければ礼は言わない。

感謝とは、「あなたのお陰です」という気持ちである。

新潟には、必ず“感謝”という押印をして手紙を出す会社がある。「〇〇先生からヒントを受けました」という。冠婚葬祭に関する企業である。

常識や、社会のルールがない会社は、消えてしまうしかない。

感謝する気持は言葉や態度に出る、口に出さなくても感謝しているというのはウソである。