◆“ISO”とっても、お守り程度のもの
 最近もあるISOの認証資格を持つ組織から、電話と印刷資料が舞い込んだ。用件は「ISOを導入したい企業を紹介してくれ、紹介料はいくら払う」というものだった。
 ISO(国際標準化機構)とは、「世界に通用する品質管理と環境管理のお墨付き」と、多くの経営者が思っている、認証のことである。(実は錯覚)
卑近な例では、あの“不二家”も二つのISOをオモテ看板にしていたのだ。
 「ISO9000」は品質管理の面でお墨付き、「ISO14001」は環境管理の面でお墨付き、しかも国際的にも通用する、というのが一般的な理解だ。
 しかし今回の、不二家の「甘い体質、腐った組織」(産経新聞)とISOとは、全く結びつかないどころか、水と油が同居しているようなものである。
 ISOは、本部がジュネーブにあるといい、国際化=科学的=先進的などの臭いがするが、実際は、認証資格を得るための国内講習を受け、パスした組織やコンサルタントが、OKを出して申請し、現場の審査に合格すれば、ISOという錦の御旗がもらえる、というもの。
 そういえば、ISOを検討したイトーヨーカ堂(当時)は「うちは、ちゃんとやってるから要りません。ISOとってもお守り程度のもの」という結論を出した。

◆“流行の経営手法”に飲み込まれるな
 ISOの考え方そのものに異論はない。
 またISOを、その名に恥じないよう実行している企業も少なくない。しかし、ISOの審査を受けるときだけ合格体裁を整え、終わるや再び、元の木阿弥という企業も少なくない。
 最近、運転していたら、前を汚れた車が走っていた。ところがリヤウインドゥには、「ISO9000=品質、ISO14001=環境」と印刷した、シールを張りつけ動く広告塔としていた。こんな会社で何が品質管理か、何が環境管理か、と思わないわけにはいかない。
 アメリカのコンサルタント会社、ベイン&カンパニーの会長、オリット・ガディッシュさん(女性)が来日したとき講演を聞いたら、こう語ったのが印象的だった。
 「QC活動(品質管理)を熱心にやり、賞までもらった会社が、QCにのめり込んだ結果、ほかの面を疎かにして倒産しました。流行の経営手法に飛びつくのは、おやめなさい・・」
 流行の経営手法がどんなものか、不二家が教えてくれました。そして、第2の不二家、第3の不二家も、いっぱい潜在しておりますぞ。ご用心、ご用心!