2.0 遺言書の種類

2.1  自筆証書遺言

自筆証書遺言、最大の特徴は、費用がかからず作成も簡易で、いつでも好きなときに、自分ひとりで作成できるということです。

作成が簡易である反面、気をつけなければいけないことは

自筆証書遺言を法的に効力のある遺言とする為には民法に規定されている一定の要件を満たすことが必要です。

遺言を残す最大の理由が、後々の紛争を防ぐことにあるのですから、不完全な自筆証書遺言を作成し、逆に、相続人間の紛争を招いてしまったり、遺言書は有効であるが、と相続登記等の財産の移転ができない遺言書も見受けますので、注意して作りましょう。

 

以下は、自筆証書遺言を作成時の注意点です。

1      自筆で書く

遺言書の全文が遺言者の自筆であること

自筆証書遺言に財産目録等を添付する場合には、その添付書類も自筆でなければなりません。

※代筆、タイプライターによる遺言は無効

     2 用紙の種類

遺言書に使用する用紙は自由です。

(原稿用紙、便せん、コピー用紙等でOKです。)

3 筆記用具

遺言書を書くための筆記用具は自由です。(ボールペン、万年筆等)

4 使用する文字

  ひらがな・カタカナ・漢字・ローマ字のすべてが使用できます。

5 作成日付を正確に記すこと

※年月日の記載のない遺言は無効ですから注意しましょう。

「平成○年○月○日」のように日付を特定できる記載方法でなければなりません。

「○年○月の吉日」などといった記載も日付を特定することができない為に無効です。

6 遺言者が署名、押印すること

※後日、相続人間でトラブルが起きてしまわないように、戸籍どおりの文字で姓名を自署しましょう。押印は、三文判でも構いませんがトラブル防止の観点からも実印がよいと思います。

7 遺言書が2枚以上になったときはホチキスなどで綴り、署名押印した同じ印鑑で契印をすることが必要です。

8 遺言の内容は正確に書く

※財産を特定する際には、不動産は登記簿記載どおりに記載。

預金の場合も銀行支店名及び口座番号、金額などを正確に記載すること。

9 必ず一人で遺言書を作成することが必要です

※民法には、遺言は「2人以上の者が同一の証書でこれをすることができない」と規定されています。夫婦であっても共同名義の遺言を作成することはできません。

 10封 筒

法律に「自筆証書遺言は封筒に入れ封印しなければならない」という定めはありませんが、改ざんを防ぐために封筒に入れ封印をするケースがほとんどです。

封筒に入れられた遺言の開封は、家庭裁判所において行わなければなりませんので、封筒には必ず、「開封厳禁、本遺言書はわたしの死後すみやかに家庭裁判所に提出し検認をうけること」等と書いておくと良いでしょう。

 

[参考法令]

民法968条(自筆証書遺言)

(1)自筆証書によつて遺言をするには、遺言者が、その全文、日附及び氏名を自書し、これに印をおさなければならない。

(2)自筆証書中の加除その他の変更は、遺言者が、その場所を指示し、これを変更した旨を附記して特にこれに署名し、且つ、その変更の場所に印をおさなければ、その効力がない。

 

(参考)コクヨで「遺言書作成キット」を販売しているようです