“「刀」から生まれた日本語”

 言葉には語源というものがある。日本の場合、日本刀や短刀作りから派生したものも多い。

 以下に日本刀や短刀づくりから生まれた言葉を紹介します。

 

★八つの日本語

●土壇場

 土壇場は、人の首を切り落とす穴のこと。人生の最期を物語るものです。

●鎬(しのぎ)を削る

 鎬とは刀身のいちばん厚い部分。この部分を削り取るほどの激闘を指す。

●鞘当て

 他人の刀の鞘に、自分の刀の鞘を当てること。喧嘩を売るに等しい。

●快刀乱麻(を断つ)

 快刀とは切れ味抜群のこと。乱麻とはもつれた麻のこと。鮮やかなサマを言う。

●諸刃の剣(もろはのつるぎ)

 「両刃の剣」とも言います。片方だけの刃ではなく、両方が刃の物もある。よって、

 自分自身をも傷つける恐れのあることを指す。

●真剣に取り組む

  本身(ほんみ)の刀のこと。本物の刀のこと。

●抜き差しならぬ

  「刀を抜く」は戦いの状態。「刀を差す」は腰元に差していること。つまり平時の姿勢。

 どうしようもないこと、を言う。

●真打ち

   刀の注文主が将軍家や大名、上級武士の場合、作った数振りの刀を見てもらい、「よ

 しこれにしよう」と決まったものを真打ちと呼び、選ばれなかった物を「影打ち」

 と呼んでいた。

 

★五つの日本語

●反(そ)りが合わない

 反りとは、刀のカーブの度合いを指します。刀の反りは一本一本違うもので、同じ

 ものは二本とない。要するにウマが合わないこと。

●焼きを入れる

 刀を作る場合、燃え盛る火の中に入れて急冷する。焼きを入れる場面である。この

 繰り返しで刀身は鍛えられます。最近では、職場でするとパワハラになります。

●目抜き通り

 刀の「目貫」(めぬき)から来ています。「目貫」とは、柄(つか)の中央部に飾ら

 れた物ですが、それの転用と思われます。目立つ通りを称するようになった。

●懐刀(ふところがたな)

 ふところとは、和装の場合、胸の奥のことを指した。そこに短刀を隠し持った。

●鍔迫り合い(つばぜりあい)

 鍔と鍔がぶつかり合い、大接戦となる状態。