おはようございます。私達税理士にとって関係深い報道が二つありました。一つはケイエイコンサルタントの脱税指南にまつわる話。もう一つは、不動産会社社長による脱税工作。まずは一番目の事件記事を引用します(NHK)
今回は一つ目だけ触れるることにします。
 顧客のサラリーマンなどに所得税の不正還付を指南したとして逮捕された東京の経営コンサルタントについて、東京地検特捜部は、脱税の罪のほか資格がないのに報酬を得て税理士の仕事をしていたとして税理士法違反の罪でも起訴しました。
東京・新宿区の経営コンサルティング会社「グローバルワークス」の代表、本多弘樹被告(34)は、顧客のサラリーマンなど、およそ50人にうその確定申告をして税金の還付を受けるよう指南して、所得税合わせておよそ2500万円を脱税させたとして、先月、所得税法違反の疑いで東京地検特捜部に逮捕されました。
特捜部のその後の調べによりますと、本多代表は、税理士の資格がないのに報酬を得て顧客十数人の確定申告書を作成していたということです。
特捜部は、本多代表について所得税の不正還付を指南した所得税法違反の罪のほか、税理士法違反の罪でも起訴しました。
この事件は、所得税法に違反した脱税指南と税理士でもないものが税理士の独占業務権を侵害したという二つの側面から有罪判決が下されました。
第一番目の問題は、経済取引に関しては、本来会計資料に基づき経済活動の実態を反映して処理をすべきにもかかわらず、そうではない税務処理を行ったか、あるいは経済活動を仮装し、それに基づき税務処理を行ったと言うことにその本質があるものと考えてよいでしょう。つまり通常の人々が普通に申告する場合と計算結果が全く異なるような計算をコンサルタントが指南して納税者はそれに従ったということ。うまい話に乗せられると、納税者も本来払うべき税金とそれに加えて加算税あるいは重加算税が課されることになります。
第二の問題は税理士資格がないにもかかわらず、コンサルタントが税理士業務を行い、その報酬を受け取ったということがその本質でしょう。この問題については、ネットなどでもよく見かけますが、税理士以外の人が平気で税金を安くする方法を教えます、あなたは税金を払いすぎていませんか、などど報酬を明示した宣伝があります。これらの宣伝自体税理士法違反に該当すると思われますが、違反が軽微であること、報酬が多額ではないということなどから、税理士側からの権利侵害の告発がされないか、検察がとりあげないかのいずれかで事件にはされていないというだけです。本来国家が権益を保護してくれる独占業務違反ですから、私達税理士にとっては死活問題にもなりかねない大問題です。しかもコンサルタントいや脱税指南屋は、民法上の責任を課されにくいので、いざとい場合納税者の責任のみが発生する確率が高いということこそが問題です。
 みなさんも税理士ではない者からの甘い誘惑には気を付けるようにしてください。その時は良くても、後で取り返しのつかないことにもなりかねませんから。