少し前ではあるものの、国税局OB税理士による大規模の脱税事件に判決が下った。税務調査に関するにせ情報をちらつかせたり、税務調査に強いコネクシヨンをもつなどということがうたい文句だという。仮に人脈で調査に強いとしたら、癒着の構造そのものですが。

今回の脱税事件。お話しにならない理論的な裏付けのない、脱税。クライアントは風俗業を中心というもともと納税意識の弱い業種が多いということ。もちろん、通常のクライアントも少なくはないと思われる。

 本人たちの刑罰や罰金は当然なことであるに違いない。しかし、判決が下った国税OBが所属する税理士法人のクライアント数百社にも税務調査が入るというから、まじめにやっていたクライアントがあるとすればとんだとばっちりになってしまう。

 私の経験でも、租税理論等は別にした人脈を売りにした元国税OBの売り込みは少なくない。トップとされる一部の理論に強い方を別にすれば、数の多さがうりだとしか思われない。

 問題はどこにあるのか。一つは、税理士制度側にある。もう一つは、理論を実務に活かすことの大切さが尊重されないところにもある。

 税理士制度側の問題。国税庁の職員は一定年数を経過すると簡単な研修と試験で、税理士登録が認められてしまうことにある。特に、今回の事件でもわかったように、懲戒処分を受けた職員ですらもなにも問題とされることなく税理士になれることなのである。この点を含めて制度の改正が図られるべきである。

 理論を実務に活かすことの大切さが尊重されないこと。これは税理士側とクライアント側、双方に問題や誤解がある。前者は国税庁あがりではない税理士が国税庁上がりの税理士と提携、もしくは、それを売りにしてクライアント獲得に動いていることである。会計実務を前提にした税務申告。そこにおいては、経済的事実に基づき会計処理が合理的であり、税法を解釈して、クライアントの諸活動にとり有利な選択をして、税務申告するという一連の手続きを税理士はとることなのである。

 クライアント側も国税庁あがりのうたい文句に踊らされることなく、人柄や一般的能力は当然としてある程度税理士としての専門的能力を見極めることが重要なのである。見極めは簡単ではないが、最近の税法改正の内容を尋ねるとか、決算書をみせて何かアドバイスがありますか、といった点を質問すると、わかることが多い。

 今回の事件の経緯に着目すれば、制度の改正。OBが一定期間は税理士にはなれないことや、簡単な試験だけでは税理士にはなれないこと、および現役の時に懲戒処分等を受けたことのある問題職員は少なくとも税理士にはなれないことなどの制度改正が望まれるのである。研究者と税理士会にも動いてほしい。


経産省認定 経営革新等支援機関 中小企業庁未来サポ-トセンタ-専門相談員

安 村 税 理 士 オ フ ィ ス

立川地裁法定成年後見人

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