おはようございます。昨日の税理士会の会合。村山もと大蔵大臣が三十分くらい忘年会にきていました。気さくな方ですね。

 さて、今日の本題。みなさん、決算書をみたことがおありの方が多いと思います。会社だけではなく、クラブ活動やPTA、校友会等継続して行われる活動には損益計算書(収支計算書の場合もあります。)という一期間の経営成績を示すものがあります。

この表でみなさん、まずはどこをみますか。私は本業での努力の結果を示す、営業利益(営業損益。以下営業利益とします)をみます。そして、財務活動の損益を加減した経常利益をみます。その項目は営業「外」収益と営業「外」費用とからなり、財務活動あるいは金融取引が主な項目となります。

 昨晩話をした税理士。本業での損益と営業外の活動の結果を示す二つの項目の損益(仮に財務損益としておきましょう)がまったく同じ意味をもつと主張していました。それは価値観としてはどうのこうのいう以前の話になります。いかに馬鹿げた間違いを主張しているか、理論的に解明し、事実を示し、歴史を紐解きその主張の間違いをみていきましょう。

 理論的には、財務損益がいい会社は、力があり金融機関からの借入利率が低かったり、豊富な資金ゆえのリスク分散が図れる確率が高いということを意味しています。この損益を重視するとどうなるか。
まずは、「ものづくり日本」というキャッチフレ-ズ。みなさんもご存じの言葉。日本の技術力を高め、付加価値をつけて、再び日本経済を浮上させようということと逆行します。この意味で政策と矛盾します。「観光立国日本」というキャッチフレ-ズとも矛盾します。

 次に簡単な事実でみていきましょう。少なくとも日本では財務損益の二つの項目を営業「外」損益項目という言葉を用いています。この事実を掲げるだけで本業での損益を示す営業利益が重視されているかわかるでしょう。
 
最後に、歴史を紐解きましょう。1980年代以降のバブル経済。何を生み出したでしょうか。結果的には何もみたらさなかつたということは活きた歴史の教訓だということに異論を差し挟む方はいないでしょう。
 この点で同類な事例。大英帝国。19世紀の後半から英国病と表現され、国民が働かず、投資家ばかりになった結果、国力は衰退の一歩で今にいたります。

 「ものづくり日本」というスロ-ガン。アベノミクスでも唱えられています。主として中小企業を支える私たち税理士。そして日本のものづくりを支える中小企業の技術水準の高さは定評がありますが、技術立国、素晴らしいことだと思っています。それに対して「金融立国日本」というスローガンを声高に奏でるのを微力な私ですが、聞いたことがありません。

 現在の、いや過去においても、ものづくりや従業員養成、設備投資、情報投資等に政府が政策的に補助金等で支援していくということはいつの時代でも行われてきたようですが、金融取引支援補助金など聞いたこともありません。
仮に金融取引補助金など導入されると二極化が進むだけか、無駄な財政政策に堕してしまうという結果をもたらすだけに相違ありません。企業努力のインセンティブとしての政策。金融取引奨励金などが登場したら、まともに企業活動をしないという意味でまさしく泡沫国家だと位置づけていいと断言してはばかることはありません。
金融大国日本などということがまかり通とすると、私などは経営努力をして安定成長を図りましょうなどと常日頃から話している税理士ですから、税理士としては時代遅れということになるかもしれません。決してアウト・オブ・デ-トなどにはならないと、少なくともこの観点からすると確信していますが。

 以上の話から明らかなことは、金融取引に関する損益と本業の損益。どちらが重要かは自明です。税理士として両者の損益が平等だというような税理士。このような税理士のセンスと能力を疑うのに躊躇は全くありません。そんな税理士で満足しているのは、報酬が安いのか、人が良いのか、騙されているかはわかりませんが、企業のためにならないと思えて仕方ありません。
私からすると中小企業の安定成長を図る観点から、努力と結果の因果関係を示す「費用収益対応の原則」を重視しているので、財務損益も同等だというような税理士の存在は信じられません。残念な限りです。

企業にとり本業の回復なくして、企業の安定成長など決して、決してありえません。それを支える意味で財務損益も見直していくこと、たとえばリスケジユ-ルなど、は、これはこれでもちろん大切だということは付言しておきます。

 ダメ押しをしておきます。日本会計学会の会長は母校で指導を受けた先生の一人がやられています。その方の定評のある教科書の中に営業「外」損益項目として内容が書かれていました。すべての会計学の教科書も同様です。

経産省認定 経営革新等支援機関 中小企業庁未来サポ-トセンタ-専門相談員

安 村 税 理 士 オ フ ィ ス

立川地裁法定成年後見人

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