ここ最近、事業継承についての相談が続いております。親子間・社長と役員間との調整役を引き受けております。経験のない事は聞き役に徹するので原則でありますが、40年間会計事務所を営んで来て様々な出来事に遭遇してきまし、親戚の多くは事業を継続しておりますのでそれぞれの人間模様を見て参りました。また、自分も数年前に視力を失いかけて始めて事業を譲ってくれた父親の姿をみて学んできた事例が他人様のお役に立つと考え相談に応じております。
(サイコロの目が合わない)
 老社長は永年の経験からの目線、息子さんは未来を見据えた目線、経営幹部は現状の改善を求める目線、ご家族は円満な解決を望む目線と、問題解決に必要な方向性が合わないで意見を言い合っておりますが、皆さんの期待は経営の安定と発展でありますので、焦ることなく折り合いを探すこととしております。
(ディベートに慣れがない)
 以前、私は事務所経営につき父親に自分の意見主張してきましたが、父親はその意見具申に「思いやりがない」と考えていたようで物事の進展がないことが度々ありました。中小零細の事業所はワンマン経営が成長の源と理解しておりますが、世代交代期は別で、社長の力・後継者の力・経営幹部の力のパワーバランスによって、最良の選択肢は変化します。
 ここで私が思い出すのは山岡荘八著「徳川家康」に描かれた情景であります。「家康が上座に座り、家臣団が下座の広間で意見を延々と述べい、家康はただ一言も発しないで聞き役に徹し、意見が出尽くしたところで一言・・・・」という情景であります。上に立つ者が部下を思慮が足りない者達と考えていては総力を結集することにはならないと考えます。
(聞き役も楽ではない)
 時代背景は厳しいく、煩わしい人間関係を離れ、一から出直しスクラップ&ビルドできる時代ではありません。家族・従業委員の皆さんの生活を考えれば、与えられた条件を活かして行く以外、犠牲の少ない選択肢はないと考えます。そんな気持ちでそれぞれの立場の意見を聞いて、皆さんも気づいている落としどころに進んで頂くことができる調整役になりたいと念じております。
 
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