13日のTKC全国会役員大会の特別講演 坂本孝司TKC全国会副会長・静岡会会長・全国政経研究会幹事長の講演「「中小企業金融と税理士の使命」TKC会員の取り組みについて」を聴き、中小企業向けの禁輸制度の枠組みが大きく変わることを理解しました。

 当日講演資料として、坂本先生の著書「ドイツにおける中小企業金融と税理士の役割」が配布されました。先生の話は、その著書の「はじめに」に記載されている文書そのものでしたので、ここに引用します。詳細はご購入頂き、確認下さい。


(はじめに)

 本書は、ドイツにおける中小金融、とりわけ「会計」と「税理士」の役割を考察し、それをもって日本の中小企業金融における「会計」と「税理士」の果たすべき役割をていじしようとするものである。

 現在、日本の金融制度、とりわけ中小企業をめぐる金融制度は、一大転換期を迎えている。

 金融庁は「中小・地域金融機関向けの総合指針」(以下、「監督指針」という)を2011年5月16日付で改正し、続いて中小企業庁「中小企業政策審議会」企業力強化部会は、2011年12月に「中間とりまとめ」を承認した。さらに「中小企業の会計に関する基本要領」(以下、「中小会計要領」という)(中小企業庁、金融庁共同事務局)が2012年2月に公表された。

 改正された「監督指針」では、企業のライフステージを6つに区分し、「経営改善が必要な企業」「事業の持続可能性が見込まれない企業」「事業承継」に対して、外部専門家である「税理士」との連携を掲げている。「中間とりまとめ」では、中小企業自らが勝ち残るための企業力(戦略的経営力)を強化する方策、ならびに地域経済を活性化する方策について、税理士および地域金融機関を「金融と経営支援」の担い手として位置づけている。「中小会計要領」は、「会計で会社を強くする」という基本思考に基づき、「中小企業の経営者が活用しようと思えるよう、理解しやすく、自社の経営状況の把握に役立つ会計」、「中小企業の利害関係者(金融機関、取引先、株主等)への情報提供に資する会計」などをその策定の方針として掲げている。

 画期的なことは、「中間とりまとめ」を受けた「中小企業の海外における商品の需要の開拓の促進等のための中小企業の新たな事業活動の促進に関する法律等の一部を改正する法律」によって「中小企業経営力強化支援法」が制定されることとなったことである。同法は「支援事業の担い手の多様化・活性化」と「海外展開に伴う資金調達支援」の2本柱から構成され、「支援事業の担い手の多様化・活性化」では、「既存の中小企業支援者、金融機関、税理士法人等の中小企業の支援事業を行う者の認定を通じ、中小企業に対して専門性の高い支援事業を実現する」とし、中小企業の経営力強化を図るため、既存の中小企業支援者、金融機関、税理士法人等の中小企業の支援事業を行う者を認定するものである。同法により、税理士は「金融と経営支援の一体的取組」の担い手として法的位置づけられることになる。

 以上の「監督指針」(金融庁)、「中間とりまとめ」(中小企業庁)、「中小会計要領」(中小企業庁、金融庁)、中小企業経営力強化支援法によって、金融機関および税理士による中小企業への「金融と経営支援の一体的取組」という、中小企業金融をめぐる国家的スキームがようやくでき上がった。しかしながら、かかるスキームは、日本でははじめてのものであるために、「中小企業金融における会計の役割」および「中小企業金融における税理士の職責」に関して、地域金融機関と税理士双方に戸惑いが見られる。(以下略)


(パラダイムの変化)

 新しい中小企業支援スキームは、全国中小企業(260万社)・個人(160万事業所)を対象としています。金融機関には、これまでの担保・保証人に依存する融資態度から、「正しい会計」に基づく与信管理能力の向上を求めています。税理士法人等には、将来の返済能力を担保する「正しい会計」で、企業実態と経理内容を明らかにさせる倫理観と実践力を求めています。金融機関・税理士法人等は、これまでとは違う業務姿勢への転換を早期に成し遂げなければならない事態となりました。



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