税理士が組織する税理士会は7.2万人余の会員を擁する大きな全国組織であります。組織として自浄機能が求められ、綱紀監察部を設け、かつ調査権を持つ国税庁と連携して対応しております。従い、税理士は税理士法に定められた義務の履行が求められ、それに反した場合は国税庁から懲罰処分を受けることとなります。


(国税庁の処分事例で見ると)

 処分の原因は、(1)お客さまへの業務体制の不備と、(2)税理士自身の職業倫理観の欠如とに分かれると考えます。


(業務体制の不備)

 税理士会の文書では「関与先との定期的な接触を怠り、年度末に税額を伝えたところ、関与先から「税金がそんなに高くなるとは聞いていない。税金を少なく申告して欲しい」といった依頼を受け、不真正な確定申告書を作成するに至っています。」と説明されています。業務管理として月次巡回監査と40日決算体制の構築が求められています。


(職業倫理観の欠如)

 税理士は、国民から社会制度として負託された税理士制度下で「税理士はかくあるべき」と常に自問自答する姿勢を堅持しなければなりません。かくあるべき自分を鏡として日常業務に従事しなければ、道を外す危険があります。厳しく自分自身を律することが税理士の絶対条件です。


 以下に義務違反を犯した税理士に課せられる事案を処分別に列挙します。

(一年以内の税理士業務の停止又は税理士業務の禁止)

1,脱税相談および故意による不真正税務書類の作成など複数の不正行為
2,お客さんの不正行為を知りながら税務書類を作成した
3,お客さんの不正要請を断っても、重なる要請で不真正税務書類を作成する
4,お客さまからの要請で、脱税の方法を指南すること
5,税理士自身の申告で、所得金額を不正に圧縮すること
6,税理士自身の申告で、架空の経費を計上すること
7,税理士自身の相続税申告で、相続財産を不正に圧縮した申告書を作成すること
8,税理士自身が実質経営者である法人の不正経理
9,税理士が、税理士資格のない者に対して名義貸し行為を行った場合


(戒告、一年以内の税理士業務の停止又は税理士業務の禁止)

10,税理士業務に関連して横領や詐欺行為を行った場合
11,雇用しているスタッフ等に対する監督義務違反(スタッフの不正加担・お客さんをスタッフに任せきる)
12,相当の注意義務違反、口頭による不自然で高額な取引の提示を受け、所得金額を不正に圧縮し申告する


(訓告又は六ヶ月以内の税理士業務の停止)

13、業務懈怠、お客さまから委嘱された税理士業務について、正当な理由なくその履行を怠る
14,税理士が、例え還付申告であっても連年無申告である場合


(求められる業務品質)

 事務所管理で、誤りを起こさせないための工夫が必要です。例えば、業務ソフトでは、その90%以上のステップが誤り防止のプログラムで構成されています。その上、「その様な処理は適法でない」とする倫理チィックを加えてソフトが出来上がっています。税理士事務所の運営においても、誤り・不正を認ず、職業倫理を堅持する管理体制の構築が求められています。



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