長野県税理士政治連盟から機関誌掲載の原稿を求められましたので、下記の原稿を投稿しました。


(一歩先を見る)

 「税は政そのもの」と云われています。税制改正を求めるには、一歩先の日本(政治経済)がどうあるかいについての考察を前提として、公平な社会を作るために、税を中心として社会をどう再構築するかの視点が求められます。税理士が納税者から期待以上の満足を得られるためには、世界の動き、国民意識の変化を見逃さない意識を我々税理士は持ち続けなければなりません。税理士として納税者と課税庁の中間的位置に立ち、グローバル社会という大海原の羅針盤と標榜するならば、我々が求める税制建議は「一歩先を見る」スタンスで提言されるべきであります。


(目にする日本の現状)

 さて、我々が日々目にする光景は、乗降客の少ない駅、買い物客がまばらなシャッター通り商店街、郊外ではナショナルチェーンの大型店舗が建ち並び、閉店した地元商人の店が目につきます。工場も閉鎖し後利用が進まない光景に慣れてしまっていませんか。税理士の顧客が年々減少している現状を座していませんか。関東信越税理士会小林会長が警鐘する「税理士が地域経済の再生を担う」姿勢が求められています。


(これまでの日本)

 これまでの日本の成長戦略は、自由主義国家として原材料を輸入し生産物を輸出する加工貿易で国の発展を支える貿易立国で成長発展してきました。輸出の増加は、生産工場を拡大させ、国内の下請けを増やし、中小企業の成長を促し、地方にも豊かさをもたらしました。


(現在の日本)

 現下のグローバル化における成長戦略の転換は、米ソ冷戦時代の終焉で、世界経済の市場は一つになり、日本企業は全世界を市場とする成長戦略を進め、生産拠点を世界中に求め海外進出いたしました。「産業の空洞化」と呼ばれるように国内生産拠点は減少し、またロボットなどで無人化も進み、大工場を支えてきた下請けの受注は減少し、地方経済は雇用先を失い、人口流出・高齢化などで閉塞感を実感することとなっています。


(これからの日本)

 そこで、近未来の日本経済は投資立国戦略で豊かさを求めていかなければならない。超円高で日本国内での生産活動は「少人数」「多品種」「短納期」という強いものづくりでなければ国際競争には勝てません。安価な労働力、世界市場を意識した大量生産規模を求めれば発展途上国にしか工場立地の適地はありません。ですが視点を変えれば、今超円高状態で「貿易立国」から「投資立国」への移行が進んでいます。そこで、その投資利益を国内に還元させる税制を始めとする諸制度整備が求められます。そして、海外からの還元利益をどう活かし、地方経済を元気にするかに政治への大きな期待が集まります。


(日本の潜在力)

 事実、日本は世界一番の技術集積があり、潜在力が豊かであります。世界で、創業200年を超える長寿企業数は圧倒的に一番であります。1500年を超える神社仏閣を建造してきた金剛組が代表的会社であります。日本人は品質の高い生産物を生み出してき、そのノウハウも継承して来ています。その長寿企業の生み出す製品は世界中で豊かな製品を求めているニーズに答えることは容易であります。日本は国土は狭く鉱物資源が貧しい時代は過ぎ去ろうとしています。海洋の経済水域を含めれば世界6位の大国で、海底に眠る資源は豊かであります。


(税政連の仕事)

 我々、税政連が取り組む「これからの高齢化を乗り切り、国民生活の維持・向上を実現させる」ための税制改革は、短期、中期、長期のあるべき姿を明確にした論議が求められ、それも具体的な数字に基づく論議、財政構造改革、社会保障制度改革、国・地方間の財源移転制度の根本改革などの提示が前提であります。税制改革のグランド・デザインを持たなければ、税制建議も単なる枝葉になってしまいます。



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