5月24日 9時 事前確定届出給与の変更

 朝礼が終了するのを待っていたように電話が鳴りました。

 

(問い合わせ内容)

  役員も従業員から役員に昇格しているので、ローン等の支払いに充てるためにも、給与の支払いについて、毎月の定額給与だけでなく7月と12月には賞与を支給したい。ということで毎期、「事前確定届出給与の関する届出書」の提出をしてきました。

  今期は業績が悪化して、月次の試算で数千万円の赤字となっています。ついては7月に支給を予定している従業員の賞与が支給できないが、それ以前に役員の賞与をしないこととしたい。

 

(回答)

役員給与について事前確定届出給与の届出(直前届出という)をしている場合に業績が悪化して、届出した給与の減額をしたい場合は、その内容の変更に関する株主総会等の決議日から1ヶ月を経過する日(変更前の直前の届出に係る定めに基づく給与の支給の日が1月を経過する日前にある場合には、その支給の日の前日)までに届出をする必要です。

 

 

(参考)

役員給与の損金不算入について

 法人がその役員に対して支給する給与は、下記の支給形態を除いて損金に算入されません。

 ①定期同額給与

 ②事前確定届出給与

 ③利益連動給与

 

 

Ⅰ 事前確定届出給与について

事前確定届出給与とは、その役員の職務につき所定の時期に確定額を支給する旨の定めに基づいて支給する給与で、納税地の所轄税務署長にその定めの内容に関して所定の事項を記載した届出をしている場合の給与をいいます。

 (1)届出期限

    役員給与に係る定めに関する決議をする株主総会等の日から1月を経過      する日と、会計期間開始の日から4月を経過する日とのいずれか早い日

    (例)3月決算法人

役員給与を定める株主総会が526日に開催された場合、株主総会の開催日から1月を経過する625日と、会計期間開始日の41日から4月を経過する731日とのいずれか早い日になるので、625日までに届出ればよいことになります

  (2)届出事項

    国税庁HP http://www.nta.go.jp/ へお入りください

     申請・届出様式 法人税関係 

21 事前確定届給与に関する届出

     をご覧ください。

 

Ⅱ 事前確定届出給与の変更について

事前確定届出給与をすでに届出(直前届出という)している法人が、その直前届出に係る定めの内容を変更したい場合で、次に掲げる事由に基因する変更であるときは、それぞれつぎに掲げる日までに、「事前確定届出給与の変更届出書」を提出しなければなりません。

(1)臨時改定事由によるもの

その臨時改定事由が生じた日から1ヶ月を経過する日

(2)業績悪化改定事由によるもの(減額改定に限る)

その内容の変更に関する株主総会等の決議日から1ヶ月を経過する日

 

(3)届出事項

    国税庁HP http://www.nta.go.jp/ へお入りください

     申請・届出様式 法人税関係 

22 事前確定届出給与に関する変更届出

     をご覧ください。

 

  ● 業績悪化改定事由とは

役員給与を減額せざるを得ない客観的な事情があるかどうかで判定します。財務諸表の数値が相当程度悪化したことや倒産の危機に瀕したことだけではなく、経営状況の悪化に伴い、利害関係者(株主、債権者、取引先等)との関係において、役員給与の額を減額せざるを得ない事情が生じていれば、これも含まれると考えます。

<例>

① 株主との関係上、業績や財務状況の悪化の経営上の責任から減額せざるを得ない場合

②銀行との関係で、借入金返済のリスケジュールの協議において減額せざるを得ない場合

③取引先等の利害関係者からの信用を維持・確保する必要性から、経営状況の改善を図るための計画が策定され、これに役員給与の額の減額が盛り込まれた場合

<注意>

株主が少数の者で占められる場合、役員の一部が株主の場合、株主と役員が親族である場合等、よくある中小企業のパターンでは、①が認められる可能性は低くなると考えられます。

②③と同様に、減額せざるを得ない客観的かつ特別の事情を具体的に説明できる資料を作りましょう。