3401未支給年金は相続財産ではなく、遺族の一時所得になります
 1遺族が受ける公的年金等の所得税の課税
「確定申告の時期が到来したので、お早めにご依頼くださるよう」という旨の、確定申告お知らせハガキを16日に発送しました。
早速、18日(昨日)から来所の予約電話が入り始め、1番の来客がありました。
私の担当するお客様は、相続で関与をはじめた関係者が多いので、相続税の課税対象とならなかった、死亡した者に係る公的年金当等で、その死亡後に支給期の到来するものは、遺族の一時所得となって確定申告の対象となるので、注意しております。
なお、一時所得は特別控除(50万円)をすると、一時所得の金額が0となる場合が多いのですが、他に一時所得となる保険金の受取等が有って特別控除を超える場合も有るので、注意が必要です。
2.未支給年金は相続財産に含まれない
未支給年金とは、故人が生前に受け取るべき年金を、遺族が相続開始後に受け取るものです。
年金は死亡した月の分まで支払われるのですが、偶数月に、それぞれの前月までの2か月分が振り込まれます。
たとえば4月に死亡した場合、4月分の年金は支払月の6月に支払われることになります。この4月分の年金は遺族が請求することによって、遺族が受け取ることになるので、この未支給年金は相続財産に含まないことになっています。
 ※最高裁判決(平成07.11.07)
国民年金法に基づく未支給年金については、「国民年金法第19条1項(未支給年金)の規定は、相続とは別の立場から一定の遺族に対して未支給の年金給付の支給を認めたものであり、死亡した受給権者が有していた右年金給付に係る請求権が同条の規定を離れて別途相続の対象となるものでないことは明らかである」と判示し、その相続財産性を否定しました。
これは、国民年金法第19条の規定においては、同条が未支給年金の請求をすることのできる者の範囲及び順位について民法の規定する相続人の範囲及び順位決定の原則とは異なった定め方をしており、民法の相続とは別の被保険者の収入に依拠していた遺族の生活保障を目的とした立場から未支給の年金給付の支給を一定の遺族に対して認めたものと解すべきことを根拠とした判断です。
  国民年金法 第19条第1項(未支給年金)
「年金給付の受給権者が死亡した場合において、その死亡した者に支給すべき年金給付でまだその者に支給しなかつたものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母又は兄弟姉妹であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものは、自己の名で、その未支給の年金の支給を請求することができる。」
  厚生年金法第37条1項の未支給年金の規定は、
国民年金法第19条1項の未支給年金の規定と同様の法律構成によっていることから、厚生年金の受給権者が死亡しその遺族が支給を請求し受領した未支給年金も相続財産には該当しないと考えられます。
 3.遺族が受ける公的未収年金等は、遺族の一時所得に該当します。
国税庁ホ-ムペ-ジより、一時所得関係より掲載
(相続財産とされる死亡者の給与等、公的年金等及び退職手当等)
 9-17 死亡した者に係る給与等、公的年金等及び退職手当等(法第30条第1項《退職所得》に規定する退職手当等をいう。)で、その死亡後に支給期の到来するもののうち相続税法の規定により相続税の課税価格計算の基礎に算入されるものについては、課税しないものとする。
  (遺族が受ける給与等、公的年金等及び退職手当等)
 34-2 死亡した者に係る給与等、公的年金等及び退職手当等で、その死亡後に支給期の 到来するもののうち9-17により課税しないものとされるもの以外のものに係る所得は、その支払を受ける遺族の一時所得に該当するものとする。
(参考)
健康保険等の高額医療費の還付金を死亡後に遺族が受け取った場合は、故人の本来の相続財産であり、相続税の課税対象となります。